「あべって、不器用だなー」 「何が言いたい。」 「そんなんじゃ、いつまでたっても三橋には伝わんねーよ。」 「・・・・・・・・」 「拒否された時が怖い? っはは、あべきめー。そんなキャラだっけ」 「…」 「…なに、してるの?」 「「!」」 「んでもねー、つか、今日は着替えんのはえーじゃん。」 「?…うん、たじまくんち、行く約束してたからっ…急いだ よっ…あ、れ…―あべ、くん?」 「―ざけんな…」 (譲る気なんて無いくせに) しねばいいのに。 ------------------------------------------ 「こいつ、だれ」 「え」 目の前が真っ白になった。 松葉杖をつきながら痛々しい姿で立った阿部はオレを指してそう言った。 他の部員の事は覚えていたのに、三橋に関する事だけ記憶の中からスッパリと切り捨てたかの様に忘れていたのだ。 「検査してみましたが脳内に異常は見られません。治療が必要なのは右足だけです」 「じゃ、じゃあ何でっ」 「……精神面からくることもあるので…なんとも……」 「ということは思い出す可能性もあるんですよね?」 「……何らかの拍子で思い出す事もあるかもしれません。」 「まじかよ・・・・・・」 「あと…実に申し上げにくいのですが……」 「…これ以上まだなんか、あんのかよっ」 水谷が身を乗り出して吼える。握った拳がカタカタと震えていた。 「よせ!八つ当たりすんな…動揺してんのはお前だけじゃねーんだぞ!」 花井が水谷の拳をやんわりと包みこんで、眉間を寄せて諌めた。 沖も泉も誰もかもが動揺を隠せずに息を呑んでいる。 「階段を落ちた際に靭帯を切断しているので…しばらくは過度の運動は出来ません。」 「・・・・っ!」 「…なおるんですよね?」 「…時間がかかります、…治ったとしても後遺症が残る可能性が…」 「、そ、だ」 「みはし・・・?」 「ウソ、だっ!」 「オレのこと、おぼえて、ないのっ?」 「……だから」 誰だっていってんだろ。 「ーっ」 「三橋くん!」 「……なんなんだよ、あいつ」 「あべ」 「…なに」 「本当に三橋のこと「 れた」の?・・・それとも「 れたい」の?」 (真実は 、) ------------------------------------------ 「ご飯ちゃんと食べろよ」 「う、うん」 「いつもの倍だぞ」 「う、ん」 「投球練習は決められた球数以上すんな」 「わ、かった…」 「風邪ひかねーように夜は厚着しろよ…あと、オレも毎日最低二回は抱け。 欲求不満にも程があ「だああああああっ」 「…んだよ」 「あべ、うっぜー」 (・・・過保護にも程があんだよ!) しかも、抱け、って な ん だ よ ! ------------------------------------------ ・・・あまりどならないでください、あたまがいたいです かれとオレはまえからずっとむすばれるうんめいだった なぜってそりゃわかるでしょ だってかれはいつもオレにほほえんでくれたしはなしかけれくれた かれはオレのいうことにくびをふったことはいちどもない、いちどもですよ? なぜだかわかります?わからないですよね、そんなのかんたんです オレにきらわれたくなかったからですよ オレがいてあいつの そんざい はげんじつのものとなる かれはオレがいなけりゃ そんざいいぎ のないにんげんだった だからいつもかれはオレに ありがとう だいすき っていったんです もうそう?そんなわけないです、だってかれはいったんだ。オレにすきだって。 キスしてもていこうもしなかった。それはすきだからでしょう?だからいったんです オレをだけって。そしたら、どうしたとおもいます? だきましたよ、オレを。てくびをしばってべちょべちょになめて、あそこにせいきを つっこんだんですよ いろんなぷれいもしましたね。ああ、そんないやそうなかおをして…ききたくないですか? でもいまさらとめようがないのでさいごまできいてください。 しらないやつらにまわされたりもしましたよ、いぬとヤれといわれてやったこともあります …へんたいだとおもいます?でも、そんなオレをみてこうふんしたかれもへんたいですよ なんで、そんなことしたのかって・・・?すきだからにきまってるじゃないですか かれがよろこぶならなんだってしますよ。オレは。 いまだって、あいつにあんたとヤれってめいれいされたら ヤりますよ。 それくらいすきなんです。 なのに・・・なのに、あいつはうらぎった ゆるせなかったんです 「阿部、三橋と田島みてない?」 「見てないよ。」 「モモカンとシガポが担任呼び出されてたんだけど…昨日から帰ってねえってよ…。」 「マジかよ……部活、どうなんの…?」 「―…二人で逃避行でもしてんじゃねぇの?」 天国にでも。 戻る |