ナリメの醍醐味は、募集をかけて応募のメールがきたその瞬間だと思う。
ドキドキする気持ちを抑え切れず、人知れずニヤけた表情のまま携帯を握り緊めると
迷う間もなく返信画面を開いて、カチカチとキーを操作した。

dragon-quest.vi*ezweb.ne.jp
sb 三橋へ。
本文 メールあんがとっ!これから宜しくな。
色々と不慣れなとこもあるとおもうけど、やなトコとかあったら遠慮なくいえよ?
そのーが、オレも楽だしさ!


あんまりグダグダしてる長メールは好きじゃない。
なるべくなら簡潔な内容ですましたいのが本音だ。(無論、本体会話での話だけど)

要らない言葉は省いて、伝えたい言葉だけを簡潔に打ち込み、送信ボタンを押すと
インターネットへと接続しお気に入りに表示されたナリメ相手募集掲示板のURLを
クリックした。
ずらずらと並んだ募集記事の中から、先刻投稿した募集記事を探し出し

 「お相手様が見つかったので募集を終了します。 田島(PL)」

とコメント入力し、接続を切断した。

ぱこん、と携帯を折り畳み、枕元に置く。

顔も知らない相手とのやり取りに、期待と僅かに不安も入り混ぜながら
私は襲い来る睡魔にのまれようとしていた。





これが、わたしと有紗の出会い
だったんだ。





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