昔読んだマザーグースの一節が頭の中に浮かんだ。


Solomon Grundy,
Born on a Monday,
Christened on Tuesday,
Married on Wednesday,
Took ill on Thursday,
Worse on Friday,Died on Saturday,
Buried on Sunday.
This is the end Of Solomon Grundy.

ソロモン・グランディ
月曜に生まれ
火曜に洗礼
水曜に結婚して
木曜に病気
金曜に危篤
土曜に死んで
日曜には墓の中
それでおしまい
ソロモン・グランディ



 「Born on a Monday Christened on Tuesday♪」
上機嫌に歌いながら、ぐったりした少年の体を抱きかかえるとベッドの上へと運ぶ。
少年の腕は、ぴくりとも動かず氷の様に固く冷たかった。
 「三橋、もー寝ちゃったか?」
三橋と呼ばれた少年は、答えない。
瞳は固く閉ざされたままで何度揺さぶってみても、その綺麗な双眸に田島を映してくれることはなかった。
 「三橋、怪我してる。強く殴りすぎちゃったもんな、ごめんな。」
ティッシュを濡らして、頬や体についた固まって肌にこびり付いた血液を拭ってやる。
首筋に残った赤黒い指の跡も、ティッシュで拭いてみるが消えない。
 「きっと明日はいい天気だから、野球できっぞ!」
楽しみだな。と笑いながら曇った空を見上げ、きっと永遠にくるはずがない明日を夢見る。
片手にマザーグースの本を持ち、一番思い深かったSolomon Grundyのページを開くと三橋の横へと寝転がる。

ソロモン・グランディ
月曜に生まれ
火曜に洗礼
水曜に結婚して
それでおしまい
ソロモン・グランディ

病気で危篤になって最後は墓の中なんて嫌な結末はいらない。
この童話の木曜から日曜までをないものにできたら、いいのに。
襲いくる睡魔に耐えながら、ぼんやりとそう心の中で呟いて田島は瞼を降ろした。






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病んでるのはお前の頭の中だと小一時間説教したい。

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