一人じゃできないことも
二人なら、みんなとなら
きっとできる
そんな気がする


「…猫湖…?」
「…サル…ノ?」

森の中で立ち止まっていたら
もみじや凪ちゃんのコトを考えていたら
木の影から、ヒトが出てきた。
入部試験の時に
キセキを起こした人
猿野天国
強い意思を持っていて、
凪ちゃんの…
好きな人
「猫神さま…どうしよう…」
ぎゅっと抱き締めて小さく言った。そしたら…
「こんな時でもいっこく堂かよっ!!」

くすっ

いつも通りだから、思わず笑ってしまった。
やっぱり…凪ちゃんが好きになるだけにはある…かも。
「なんだよっ何笑ってんだよ!」
ぷいっと猿野はそっぽをむいた。殺意があるようには思えない。
…ああ、こんな考えを持ってしまうなんて…
すごい…イヤ
「猿…の?」
でも
そのとき目にはいってしまった。猿野の手に付いた、たくさんの
血
頭には一瞬にしていろんな事が浮かんだ。
猿野が人を殺したかもしれないこと
今背中を向けているのも自分を油断させるためなのかもしれないこと

そんな自分に罪悪感を覚えながら、一歩
後ずさった。
「なん…」
猿野が行動を止めた。手が目についたのかもしれない。
「猿野…はもしかして…ヒトを…」
さらに下がりながら聞いた。
でも聞いたのは悪かったかもしれない。はずみで殺されるかも…。
「殺してなんかないっ!!!」
「!?」
猿野がとても大きな声で叫ぶから、とても驚いてしまった。
「あ…わり…」
慌てて猿野が言ったケド、目の奥から涙がこみ上げてきて…
「そんなに…怒鳴る必要ない…かも…」
と言った。
猿野はこっちに歩いてきて。
自分のカバンからタオルをだして、私に渡してくれた。
「…なくなよ…あの怪力女に怒られるから…」
それから猿野は分校から出てからのコトを言ってくれた。
なんで手に血がついてるのかも…教えてくれた。
「猫湖は清熊と凪さんを探してるのか?」
コクリとうなずいた。
そしたら猿野は立ち上がって
「じゃあ俺にまかせろよ!このスーパースラッガー猿野天国さまに!!」
と言ってくれた。

心はとても安心して…

人を信じ続けるコトができると思えた。


一人じゃできないコトも
二人なら、みんなとなら
できる気がする

「猿野…もみじを…凪ちゃんを…一緒に探そう」






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