大切な親友とはもう会える事はなく…

『Goodbye-Myfriend』


本当なら今日は羊谷監督が言うにゆかいな合宿のはずで、今ごろ
夜空眺めて風呂に入ってるか、ふかふかの布団でゆっくり寝てるはずだった。
だから、こんなところにいるなんて、まるで嘘のようだった。

人殺しのゲーム『プログラム』対象は中3じゃなかったっけ。
なんでこんな所で、人殺しなんかしなくちゃいけないんだ?
大切な親友とはまだ会えてない

「一体何処にいるんだっちゃ虎鉄の奴…」

思わず口に出して呟いたけど、こんな夜夜中静かすぎる静寂が、周りを
支配して、誰も答えることはない…

「ガサッ!」
後ろの草むらから音が聞こえた。人の気配がする。
支給されたデイバックの中に入っていた小さいナイフを握りしめた。
でも本当に人でも殺す気があるわけじゃない。
自分は、こんなクソゲーにのってないから…

「そこにいるのは誰ばい!?」
震える声で叫んだ。後ろをおもいっきり振り向きながら。
そして後ろにいるのが大切な親友であるようにと祈りながら…

「い、猪里Ka?」
その独特なしゃべり方ですぐにわかった。
大切な親友。
ああ、自分はなんてついているんだろう…
手に握りしめていたナイフを投げ捨てて走り出した。
ほんの数メートルしか離れていたかったけど…
「虎鉄!!」
駆け寄って、おもわず抱き締めた。
「猪里!!」
そしたら虎鉄も抱き締めかえしてくれた。
「無事だったっちゃ!?虎鉄!」
「ああ!猪里は無事だったKa?」
「大丈夫にきまっとるばい!俺がそう簡単にくたばるように見えるとね??」

なんて会話をしているんだろう。話ながらそう思った。
はたから見たらただの高校生がじゃれあっている様に
見えるかもしれないけど、状況が状況なだけに、そんな会話をしているわけがない。

「まあ、そうだNa!!」

俺も虎鉄も努めていつもどおりにしようとしているけどやっぱり少し無理がある気がする…

「虎鉄、とりあえずココから離れるばい、さっき俺が出した大声で人が来るかもしれないばい。」
とりあえず最前の策を考え、実行するに限る。
今は今までがどうより、より長く生きるためにはどうすればいいか。
まずはソレを考えよう。難しいことを考えるのが苦手な俺はそうしようと思った。
「そうだ…Na」
そして、虎鉄の体が離れた…。

「ああ、早く行くっ…」

言葉の途中で俺の顔が凍りついた。

「…虎鉄?なんばしよっと?」
裏切りと、友情と…


俺の目の前で、俺の大切な親友が、俺にむかって拳銃を構えている。
嘘だろう?
嘘だ
嘘だ
「嘘だよな…虎鉄…」
また、声がふるえだした
「嘘なわけないZe…俺は、お前を殺してからココを行くYo」
嘘だ
嘘だ
嘘だ
嘘だ
「死ね」


「嘘だああ――!!!」

叫んでしまった。力の限り。声が続く限り。

はあ
はあ
はあ
『カチャリ』
虎鉄が拳銃の引き金を引いた。
「Bye-Bye☆」
はあ
はあ
はあ
「うわああああ――!!!!」
俺は虎鉄の持っている拳銃を奪いにかかった。
それはあっさりと取れた気がした。そして…
「パンッ」
「パンッ」
撃った。
撃った。
撃った。
生暖かい血がまるでシャワーのように降りかかってきた 
『猪里…おまえはいきろよ…』
空耳?幻聴?
虎鉄の声が聞こえた気がした。
お前は生きろって…何それ…

「虎鉄うううーー!!!」



叫びは夜空に掻き消えた…


大切な親友ともう会える事はなく…


 



 
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